寛永三年創業。新潟県と富山県の県境に位置する下新川郡朝日町境にある酒蔵です。
代表銘柄は「黒部峡」。北アルプスの雪解け水と、黒部峡谷に霧が流れる山水画をイメージし命名されました。
手造りに徹し、「伝統の技法に新しい技法を取り入れながら、日本酒の文化を伝承していきたい」というのが蔵元の信条です。自然に恵まれた環境の中で、蔵人杜氏の一心の自戒による真心こめた酒造りをしています。
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訪問日 : 平成23年11月25日
下新川郡朝日町境。
翡翠が採れることで有名な宮崎海岸(通称:ヒスイ海岸)のそばにある林酒造さんを訪問いたしました。
〔林酒造 代表 林 洋一氏〕
お酒造りのこだわりは、「あくまでも手造りを重んじ、本物を追求すること。地産地消を大切に、地元の方々においしいと言って貰えるお酒を造ること」だとお話くださいました。
〔若き蔵元 息子さんの 秀樹氏〕
そんな代表の信念を継承され、新潟からの杜氏さんのもと、新米蔵元杜氏として日々頑張っておられます。
そんな秀樹氏に蔵を案内して頂きました。
創業一六二六年(寛永三年)。富山県最古の酒蔵
加賀藩の関所があったこの朝日町境で与力として勤め、傍らに酒を造り、関所に納めるようになったのが林酒造の原点だそうです。永い歴史の中には、廃藩置県の折、藩より貰った退職金で千石船を買い北海道まで交易をするも、悪天候で難破。失敗に終わったという事もあったそうです。
大正時代から昭和の初め頃は、郵便事業を兼業されていたそうで、それを裏付けるように蔵入口には当時の受付窓が今でも残っています。今は日本酒造り一筋。変わらない良いお酒を造ることを信条とされています。
蔵入口にずらりと並んだ黒部峡
こちらもずらりと並んだ品評会の賞状の数々。一番古いもので[明治三十八年]だそうです。
仕込み始めは11月初旬から
仕込み米は山田錦など酒造好適米が七割を占めてます。
【甑】
【浸漬】
【麹室】
蒸したお米に黄麹菌を付着させた後、繁殖を促す為、このように山形に盛り、布をかけ寝かせます。
【出麹】
完成した麹を室から出し、菌の増殖を防ぐ為冷やします。
このように波紋状にしてあるのは、空気に触れる面積を増やし均一に温度を下げる為だそうです。そしてこの麹は翌日、醪仕込みに使用されます。
【酒母タンク】
水、蒸し米、米麹、を入れ、このような小さなタンクで大切に酒母を育てます。
【酒母タンク内】
今まさに発育中の酒母。
ここで育った酒母が醪の元となります。
【仕込みタンク】
水、蒸し米、米麹、酒母が入れられ、醪となります。
【タンク内】
じっくりと混ぜ合わせ、発酵を促します。
【醸造タンク】
タンク内でじっくりと熟成させます。
【壜詰】
壜詰され出荷。
代表銘柄[黒部峡]
【黒部峡 H21BY 純米原酒 赤ラベル】
H23年春に全量酒造好適米雄山錦で醸した純米原酒を瓶貯蔵していた熟成酒。
原酒特有の力強さと、米の旨味が際立つお酒です。
【銘柄・雪路】
あの朝丘雪路さんが、名前が一緒のお酒ということで取り寄せされたという「雪路」。
それがご縁で、今でも親交があるそうです。
最後に
伝統を守りながら、手造りに拘ってお酒を醸されているのが十分に伝わってくる取材でした。
我々酒蔵探訪隊にとって、仕込み真っ只中の蔵の訪問は今回が初めて。タンクを覗く度に感嘆の声をあげていた私たちですが、初めて発酵している醪を見て、お酒は生き物なんだということを改めて実感致しました。
今回案内していただいた、醸造元 洋一氏、秀樹氏、そして奥様、本当にありがとうございました!